VOX Guitar Organ メンテ依頼［mt028］

Vox Guitar Organ、60〜70年代の製品です。その名の通りギターとオルガンが合体したモデルで、フレットを押さえることでオルガン演奏できます。各フレットがオルガンでいうところのKey接点で弦が触れると信号が流れる仕組み。専用のピックを使えばギターのように演奏することもできます。ギターとのユニゾン演奏も可能。非常にレア！現物は初めて見ました。

■メンテ内容
(1)D弦列不出力
(2)E弦列の出力が不安定
(3)電解コンデンサ交換
(4)organ toneスイッチ２, 3のチェック
(5)チューニング

まずボディ裏を開けてオルガン音源基板などをチェック。左からE-A-D-G-B-Eの順で並んでます。ここで基音を生成しフレット各弦下の抵抗器で音程を決めます。
D音基板をチェックします。正常動作している隣のA音ボードと比較しながら各ポイントをチェックしていきます。
異常箇所を特定しチェックすると回路図と異なる抵抗器がセットされています（前ユーザーによるもの？）。抵抗器を交換してテストすると出音するようになりました。
この状態でしばらくチェックするとE音とD音の出音が不安定。クーラー入れた涼しい室温では正常、切って室温を高くすると不安定になるので温度に影響される部品が原因？　調べると温度補償回路などに使用されるサーミスタがセットされてました。E基板、D基板とも交換して修復。
電解コンデンサの交換
organ toneスイッチ２, 3の出音が小さいということでそのTONE基板をチェック。部品に異常はなし。断線もなしです。コンデンサの容量が少し大きくなってたので一応フィルコンに交換しておきます。出音は変わらず。恐らく仕様だと思われます。
最後にチューニングです。基音チューニングポットを調整しているとD音の出音が不安定に。チェックするとポットの抵抗値を上げていくとトランジスタのC-E間が遮断してしまいます。周辺の部品をチェックするも問題なし。ここで煮詰まりました。トランジスタの性能のせい？正常動作している他の基板のトランジスタと比較してもほぼ同等。ここから２日悩んで師匠の山本さんに相談。回路図を観ていただいてフリップフロップという回路について教えていただきました。「左右対称の回路で対となった部品は同等でなければならない」そして原因発見。対のコンデンサの片方の容量が少しだけ多い。交換してD音の不具合解消です。山本師匠、ありがとうございます。
改めて基音のチューニングです。がしかしポットを目一杯に回しても基音より高いKeyあり。経年劣化でチューニングに関連する抵抗器の値に誤差が出たと思われます。チューニングに関連する抵抗器は各弦フレット下にセットされておりそれを全部チェックして交換するよりこのチューニングポット後に調整用の抵抗器をセットする方が今後のメンテにも有用ですね。テストケーブルで適当な抵抗値を探ります。
E音, A音, D音, B音基板に調整用抵抗器をセットしてメンテ完了。その他ネジ穴補修・ケーブル補修など。











［organ69］